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お笑いサタケ道場「鬼が哭く夜 〜二人の桃太郎伝説〜」

 2月23日。土よう日。大阪。晴れ。


 横山晃士さんが出演された舞台、お笑いサタケ道場 第18回公演「鬼が哭く夜 〜二人の桃太郎伝説〜」を観てきました。インディペンデントシアター2ndにて。


 まず、会場に入ってすぐにぴしゃっと目が合ったセットが!超すごい!いっきに心を奪われました。なんだか出迎えてもらえたような気がしてうれしかったです。真ん中にドンとたっている門には、鬼が浮かび上がって見えて、ツノっぽい形だったよね〜?ひゅうっと世界へ吸い込まれていくような感覚、ちょっともう忘れられないです。劇中のいろんな場面で存在感を示していたのが印象的でした。影落とすのめちゃめちゃかっこよかったな〜〜 物語の感想もすこしだけ!


鬼退治をしない桃太郎

 最初のシーンは女の子たちに混ざっているような気持ちでそこにいました。桃太郎のお話について、わたしも、どんぶらこどんぶらこ〜桃から生まれて〜犬猿キジを連れて〜っていう、みんなと同じくらいのイメージしか持っていなかったし、「鬼退治ー!!!」ってみんなの声がウキウキしていたこと、その言葉の怖さには似合わない、ぱきっと明るい表情をしていた意味も、とってもよくわかる。だって、今そこにいるのが悪い鬼なら、その鬼はこれまでもこの先もずっと悪い鬼のまんまなんだと思っていたし、じゃあ、今やっつけなきゃいけないものなんだと思ってた。桃太郎がやっつけてくれる結末も知っていたから、だから、わたしにとって、鬼退治をした桃太郎は、正しさを選んでいくためのお手本みたいな感じだった。

 だからね、国を追われて海を渡る幼少期の場面で、兄様が話してくれる鬼退治をしない桃太郎の話に、「桃太郎は幸せだ」って言えてしまうことがちょっとふしぎでした。その時点ではね。そんな桃太郎を想像したことがなかったんだよ〜

 やっと見えた陸におじいさんとおばあさんの姿が見えて、「わたしたちが桃太郎?」って言ったのは、幸せになれる希望が含まれていたんだろうなぁ。でもその続き(おじいさんとおばあさんが襲ってきて戦わないといけなかったこと)を知ってしまったので、今思うとすこし切ない。


 稚媛と采女が多々良彦の刀を泥棒するシーン〜〜実は、舞台こねことやその他の作品でも見たことあるみなさんだったと思うんだけど、声を出す舞台を見るのは初めてでした。心地よくてかっこいい声だったな〜その無邪気さにつられて思わず笑顔になってしまいました。あんなかわいい声でド直球に変態!って言われるの、ふつうに傷つくだろうな(笑)おもしろかった(笑)

 剣を触ってみたい!っていう二人の気持ちからなんとなく読み取れたのは、二人にとってそれが人を切る武器ではないんだな〜〜っていうこと。わからないけど、少なくとも怖いものという認識ではないと思うし、でも自分にはとうてい関係ないものっていう感じでもなくて。国のみんなが一生懸命作っているもの、国を栄えさせたもの、自分たちを守ってくれるもの、とかかなぁ。そうやって、剣がやさしさの象徴として描かれていたことで吉備の国の空気を感じられてとても好きなシーンでした。

 そういう空気を作ったのがきっと桃太郎で。兵士に襲われた多々良彦を守るために登場!登場の仕方、かっこよすぎるでしょ〜〜!きらっきらでうっとりしてしまった〜〜!敵の刀なのにさらりさらり流れるように桃太郎の手で操られるみたいに動いていったのがすごすぎた。心のなかで拍手喝采でした。多々良彦から感謝されても「人を殺したんだからうれしそうにしないでくれ」って切なく言うの。桃太郎のやさしさが国民みんなに浸透しているんだなぁって思いました。あといっしょに戦った雉丸の髪型がひょこってしていてかわいかった。ちゃんと鳥っぽい!


 たぶん全員がステージへ出てきて踊る場面!HIROKI先生が振り付けたダンス、 楽しみにしていました。もうね、ほんっとにすごすぎて!目が足りなかったんですが、、やっぱりその中でも横山さんは特別にかっこよかったです!わたしが見ていたところとは逆側への登場だったのでちょっと遠目だったんだけれど、そこからでもわかるくらいくっきりとしたメイク!!目尻を跳ね上げたアイラインがめちゃめちゃ似合っていた〜!どの瞬間も見逃せなくって心のなかのシャッターを切りまくっていたんだけど、特に、手や顔の角度の付け方が圧倒的に客席だったのが印象に残っています。このシーンめっちゃ大切にしているんだな〜!って思ったので大切に見ました。足場が階段だった気がするんですが二段くらいにかけて跨いで踊るのめっちゃすごいことだったのでは、、と考えています。あと衣装がオーバーめ?っていうのかな?動くとふわりとなびくのがきれいだった。この時点ではまだ役柄がよくわかっていなかったんだけれども、身体の切り返しとか音への乗り方がいつもより優雅だった気がして、ぜったい王族かなにかでしょ〜と思っていたらほんとに王子だった、、天才だ、、(横山さんが)


温羅と吉備津彦

 5年前の回想シーン。温羅は、異国の神の九天玄女を呼びだして攻めてきた吉備津彦を自分の魂と引き換えに滅ぼす。九天玄女さんインパクトすごかったな〜〜イザナミさんもだけど、雰囲気あって、手の届かなそうなっていうのかな。どこにでも行けるんだろうなっていう身のこなし?が神そのものでした。
 そうして、今の桃太郎が兄様の意思を受け継いで、国を守るっていう約束をずっと守ってきた。守るものめっちゃ多い!かっこいい〜!


 温羅と吉備津彦のシーンで、寝てるのか?目あいてないだろ!?あいてる!!みたいなやりとりめっちゃ笑った。謝れ!って幼少期温羅(目ぱっちり!)をつれてくるのとかね(笑)温羅と吉備津彦、めっちゃ仲が良いんだな〜〜って、立場的にはおかしなことなのかもしれないけれど、わりとすんなり受け入れられたかも。


 大王さまと稚武彦のシーン。亡くした吉備津彦の話をする大王さまの背中が悲しそうで悲しそうで。まちがいなく親の背中だった。それを拳にぎゅっと力をこめながら聞く稚武彦にもいろんな思いがあるのだろうなと。基本的に大王さまへ身体を向けているから横顔なんですが、髪を耳にかけてくれていたから表情もちゃんと見えて最高でした〜そんなところからも横山さんの客席への意気が感じられました。

 すこし先で大王さまたちと吉備津彦が再会するシーン。突然の、ぷりーん!には超びっくりした(笑)おしりふりふりの舞?で、定番のやつっぽい(笑)横山さんのコミカルさが炸裂してしまった場面でした。たたたたたって細かい足踏みで移動して、位置につくときにぽんって一瞬飛ぶやつ、横山さんのトレードマーク(と勝手に思っている動き)が見れて最高でした〜あとここで鳥飛姫がきちんとしっかりツッコミ入れてくれて安心しました(笑)全編通して、鳥飛姫ほんとにきれいだったなぁ。カタリとカキトメもキーパーソンです!カタリが「今の(ぷりーん!のシーン)ぜったい必要ないだろー!」みたいなことを叫んで、みんなの代弁者みたいだったね(笑)カタリとカキトメがいてくれたおかげで物語を解釈していくのがほんとうに楽しかった。


 稚武彦と鷹神のシーンにはほんっとに心を打たれた。5年前に戦に行けなかったことや、特別な力を持つ父兄姉と自分を比べて、なんのために生まれたのかとか、悩みを持っている稚武彦の叫びに、器の大きさではなく器を満たすことが大切だって言う鷹神が超かっこよかった。考えることが命あるものの役目って。お互いに考えて考えて、稚武彦を守って戦った鷹神と鷹神のために剣をぬいた稚武彦のこと、わたしねぇ、ずっと忘れないと思う。留玉が吉備津彦に言った、「あなた自身ではないからあなたのことがわからない(でもあなたのために思った通りに動きたいあなたを理解したい)」っていうのとか、最後に鳥飛姫が壱与に髪飾りをつけてあげたことも、主従関係の尊さみたいなものを目にしてしまいました。すごかった。


悲しみは武器になる

 温羅の身体の中でいっしょに生きつづけてきた吉備津彦。二人は友情を持って、戦をしないことを約束したのに、吉備津彦の家来の楽々森彦が火之女、采女、稚媛をさらって術をかけちゃう。大切な人を殺しつづける呪い。泣きながら阿曽媛と翁を剣で何度も刺すの、、このシーンほんとにほんとにつらかったなぁ。みんなにとってやさしさの象徴だったはずの剣で、大切な人を傷つけなければならなかったこと、これ以上ひどいことなんてほかにないよ。

 守りたかった人たちを守れなかった。目の前でそんなことが起きて戦う決意をした桃太郎。大和の都合で始まった戦が、もう、ずっとずっと威力を増していっちゃう。
 温羅の中で生きる吉備津彦が雉丸、猿王、犬彦を次々と殺す。最後には桃太郎も。このへん曖昧なんだけど、自分でもどうすることもできないって、自分の意思以外のところにある行動だったのかな〜?操られたとか?でも温羅は吉備津彦に対して怒るんだよね。吉備津彦を身体から追い出して吉備津彦の家来を殺す。仲間を殺された温羅の悲しみは、憎しみ、怒りへ変わって、人を殺す武器になっちゃった。温羅と吉備津彦、手に汗握る戦いだった。鬼にしたのは誰だ、それが鬼退治の真実でした。温羅は元から鬼だったわけじゃなくて、心のなかで眠っていたすこしの鬼性みたいなものが目を覚ましてしまったんだよね。そういうこと、時代や国に左右されず、誰にでもあり得ることだと思っていて。そのことを悪くないって言ってくれる人が周りにいるってすごいよね。


生きててくれてありがとう

 鳥飛姫が連れてきてくれた黄泉の国で。このへんもちょっとむずかしかった、、けど、鬼になってしまった温羅を止めたのが桃太郎の愛でほんとうによかった。

 桃太郎が温羅に言った、(おじいさんとおばあさんを殺してしまった自分たちを許してくれた)翁みたいになれたらよかった、あなたが悲しいときただ悲しいまま眠ってほしかった、っていうのが今でもわたしのなかで大切すぎる言葉。悲しいとき、自分が悲しくなることをそっと受け入れてとことん悲しくなる、そうしてただ悲しいまま眠る、そのことだけが、自分を然るべき場所へ導いてくれるのかもしれないなぁと思いました。逆しまの魂を蘇らせることを選べたのも、その導きの光を辿った結果だったのかな。最後の方はもうずっと眩しくてあったかかったな〜〜壮大な物語だった〜〜



 ほんとにほんとにおもしろかったです。悲しみへ備えておきたくなったし、準備をさせてくれるためにこの物語があったのかもしれないなぁ、と思っています。いつだって悲しみがやってくることは避けられないけれど、それを許せる人でいたいよね。すてきな感情を連れてきてくれてありがとうございました。また。